新林公園には、柄沢の名主小池家の旧邸(1841年築)と
渡内の名主福原家の長屋門(江戸時代後期築)が移築されています。
小池邸は、土間に入ることができ、内部を見ることができます。
太い大黒柱と立派な梁があり、座敷には囲炉裏があります。
部屋は田の字に配置され、蚕を飼っていたのか、屋根裏もあります。
ちなみに私の事務所も大正15年築で、同じようにがっちりした柱・梁があり、
同じような間取りです。
福原邸は、見事な茅葺き屋根で、風格を感じます。
福原家長屋門は、以前は渡内の二伝寺近くにあったものが、2008年に
新林公園に移されたものです。
今は建築当時の茅葺き屋根になっていますが、
移築前は確か緑色だったと思いますが、美しい瓦屋根でした。
市指定重要文化財(建造物)
平成一一年(一九九九)二月一二日指定
旧小池邸
規模 桁行一八、五九五㍍ 梁行一一、〇一㍍
建築年代 江戸時代後半
小池家は市内柄沢の旧家で、柄沢村の名主でした。
この建物は天保一二年(一八四一)に建てられたもの
で、二間半の式台と立派な座敷を備え、名主の住宅の
格式を表しています。昭和五八年(一九八三)に新林
公園内へ移築復原し、永く保存することになりました。
旧小池邸
旧小池邸は、江戸時代天保一二
年(一八四一)に棟上げされた建物
で、市の文化遺産として、昭和五
十八年に新林公園内に移築されま
した。建築面積一七一、四㎡(約
五二坪)で寄棟造の茅葺屋根、土
壁、石基礎で土台は栗が使われて
います。
小池家の先祖は、足利尊氏に仕
え、江戸時代になって柄沢に移っ
たと伝えられています。江戸時代
には代々柄沢村の名主でした。
(社)藤沢青年会議所
市指定文化財(建造物)平成一八年(二〇〇六)五月二十四日指定
旧福原家長屋門
規模 正面間口 十五、三九㍍(五〇、八尺)、奥行四、二四㍍(十四、0尺)
建築年代 江戸時代後半
福原家は市内渡内の旧家で、江戸時代には名主を務めました。天保十年
(一八三九)には福原高行・高峯父子によって「相中留恩記略」(市指定文化財)
が編さんされましたが、その屋敷は「左平太宅」として同書に描かれています。
長屋門とは、門の両脇に部屋(長屋)を備えた建築のことで、江戸時代の
末頃から、上層農家の格式を示す建物として、屋敷の入口に建てられることが
ありました。そのような長屋門の場合は、門に接する部屋を倉庫や納屋・
馬屋などにすることが多いようです。
この長屋門は、神奈川県下でも比較的大規模な建築で、建築当初の状態を
よく残していることから、江戸時代末期の名主屋敷の暮らしぶりや地域の
建築文化を知るうえで貴重な歴史資料です。藤沢市は福原家から建物の寄附
を受け、新林公園内へ移築復原し、市民共有の財産として永く保存することと
しました。移築復原工事には、平成一九年(二〇〇七)十月から着手し、
平成二十年(二〇〇八)一二月に竣工しました。この工事にあたり、長屋門の
文化遺産としての価値を維持しながら必要な補修を行い、建築当初の姿に
復原しました。
平成二十一年(二〇〇九)四月
藤沢市教育委員会