今回は、建物の賃貸借契約を締結するにあたって、必ず必要になる「連帯保証人」について解説していきます。
前回のブログでは先に「家賃保証サービス」を解説させていただきましたが、そもそも、なぜ連帯保証人が必要なのか、連帯保証人とはどういうものなのか詳しく見ていきたいと思います。
少し長くなりますが、大切なお話なので、ぜひお付き合いください。
①なぜ連帯保証人が必要なのか
賃貸借契約は民法で定められた典型契約の一つで「モノを使用させてもらう対価としてお金を払う」と約束する契約です。(借りた後はちゃんと返すことも含まれます)
ですので、貸主側はモノが使える状態で貸すことを、借主側は借りてる間はお金(賃料)を払うことを確実に実行しなくてはなりません。
ここで問題になるのが、「借主はちゃんとお金を払い続けられるか」ということです。
(もちろん、貸主側もちゃんと住める部屋を貸さなくてはいけませんが、今回は割愛します)
ほとんどの方が問題なくお支払いいただけるのですが、中には様々な事情で賃料を払えなくなってしまう、払わない方がいらっしゃいます。そうした方の対応には莫大なお金と時間がかかってしまうので、どんなことがあっても借りている間はお金をちゃんと支払う事を貸主に証明・約束しないと貸主も安心してモノを貸せないということになります。
もし借主本人が賃料を払わなかったとしても、代わりに賃料等を支払うことを約束しているのが、「連帯保証人」というわけです。連帯保証人が居れば、万が一の際にも対応してもらえるので、貸主側も安心してモノを貸せるということになります。
②連帯保証(人)とは何か?
そもそも連帯保証とは、「保証人が、主たる債務者(本来の債務者=借主)と連帯して債務を負担すること。」とされています。
単なる保証人の場合は、主たる債務者(=借主)が賃料等を支払わず債権者(=貸主)が保証人に代わりに支払うよう請求した際、保証人は主たる債務者に先に請求するように言えたり(=催告の抗弁権と言います)、主たる債務者が財産があることを証明すれば、そちらから執行するように言える(=検索の抗弁権)ので、「まずは主たる債務者(=借主)に言え!」という権利があるのですが、
連帯保証人にはこの2つの権利がありません。
つまり、主たる債務者に先に言え!と主張できないので、仮に債権者(=貸主)に家賃等を支払うように請求された場合は、連帯保証人は支払わなくてはいけません。
主たる債務者とまったく同じ立場ということですね。
このことからよく「たとえ親のでも連帯保証人には絶対になるな!」というわけです。
③連帯保証人になるのに必要な条件
以上の事から連帯保証人には「代わりにお金が払える金銭的な能力(=資力)」が必要となります。
連帯保証人に求められる条件として、明確な条件があるわけではないのですが、建物賃貸借契約においては一般的に、
・しっかりと収入があること(年金のみだと断られることもあります。)
・(近くに住んでいる)3親等以内の親族であること
・連帯保証人になることを承諾いただけること
が条件になることが多いです。県外の方や働いていない方だと連帯保証人の役割を果たせない可能性があるので、このような条件を求められます。
④連帯保証人が用意できない時は・・・
いままで見てきたようにちゃんと知っていると連帯保証人になってもらうことは、かなりハードルが高く、人口減少・高齢化社会の中では、なかなか連帯保証人の確保は難しくなっています。
連帯保証人が用意ができない場合は、部屋を借りることもできなくなりますので、
連帯保証人の代わりになってくれる「家賃保証サービス」が誕生し、現在ではほとんどの管理会社で利用が必須となっています。
⑤最後に・・・
今回は連帯保証人について、解説させていただきましたが、いかがでしょうか。
2020年4月にあった民法改正では、保証についても見直され、連帯保証人の保護が進んだりと、
しっかりとした知識を持っていることが必要な分野です。
お客様におかれましても、知識を身につけてから契約書を読んでいただくと、なるほどなぁとなるかもしれません。是非一度調べてみて下さいね!
参考URL
①e-Gov法令検索「民法」https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
・賃貸借契約 601条
・保証債務 446条~をご覧ください。
②法務省PDF資料「保証に関する民法のルールが大きく変わります」
https://www.moj.go.jp/content/001254262.pdf
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