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実家を売りました

今日、山形の実家の引渡しでした。

昨年7月、両親は藤沢の私の自宅隣に引越してきました。

先日、父は90歳の誕生日を迎え、母ももうすぐ88歳になります。

私たち三人兄弟が巣立ってから、夫婦二人で元気に暮らしていましたが、父が4年前に心不全で倒れ、重篤な状態に陥りました。

幸いなことに、奇跡的に健康を回復し、その後、介護保険を利用しながら家族で二人の生活を見守ってきました。

しかし、だんだんと冬の除雪もままならなくなり、両親の自立した生活が難しくなることから、思い切って雪のない藤沢への移住を決断してもらいました。

 

藤沢での生活にも徐々に慣れてきたので、次のステップとして、実家の売却の話を持ち掛けました。

「住み手がいなくなった雪国の家を維持することは大変」「売却によって今後の生活費を捻出する必要がある」と、売却を渋る両親を説得しました。

 

実際のところ、所有者が痴呆などで判断能力を失うと、法律上簡単に売却することができなくなります。

また、相続まで待つとなると、家を維持しなければならない期間が長くなり、結果として資産価値を失い、売るに売れなくなる可能性も大きくなります。

 

売却にあたっては、当初は地元の不動産会社に相談していましたが、なかなか反響がありませんでした。

そこで、せっかく私が不動産屋なので、ダメもとで自分で募集を始めることにしました。

インターネットで募集広告を出したところ、思いのほか多くの反響があり、何度かの交渉を経て、申込みをいただくことができました。

ただ、両親が将来売却するとは考えていなかったため、書類が不足していたり、境界関連の問題があったりで、買主の方の住宅ローンの条件を整えるのには、苦労しました。

 

両親にとって、60年住んでいた家を手放すのは、本当に身を切られる思いだったろうと思います。

私にとっても生まれ育った実家の場所が人手に渡るということは、普通のことではありません。

でも、両親の今後、将来にわたる家の維持を考えると、やむを得ない選択でした。

 

今回、購入していただく方は同じ町内のご家族。

来年小学校に入るお子さんがとても気に入ってくれたのが決め手になりました。

最後に、両親もビデオ通話で買主ご夫婦と話をすることができ、明るく屈託のないお二人に、ほっとした様子でした。

両親にはしばらく寂しい思いをさせることになりますが、ひとつ親孝行ができたのかな、と思っています。

(余談)今回の実家の売却で強く感じたこと。

全国で空き家の流通が問題になっていて、各自治体は、空き家バンクなどの取り組みを行っています。

空き家バンクに載っている物件を調べてみると、相続登記がなされていなかったり、境界が不明確だったり、隣地が所有者不明だったりする物件も少なからずあります。

こういう物件は、取引の条件を整えるのに思った以上に手間がかかります。

実際の取引は「当事者間で交渉する」または、「当事者が不動産会社に依頼する」仕組みになっている自治体が多いようです。

もともと物件価格が安いのに手間がかかる、こうなると、なかなか不動産流通の担い手(不動産会社)がいない、という状況になるのではないかと思います。

実際、今回の実家の売却を通じて、地方では、流通の仕組みを自治体主導で整えることも必要なのではないか、と思いました。