藤沢市には、住宅を建てる際の最低敷地面積が定められていません。
そのために、今も大量の狭小住宅が供給されています。→→→SUUMO
そのほとんどが、相続で売りに出された土地を、建売業者が買い取って、敷地分割し、住宅を建てて販売する、というものです。
近隣の自治体は、最低敷地面積を100㎡または125㎡と定めています。
いろいろ抜け道はあるようですが、藤沢市の場合は、そもそも規制がないので、建売業者からすれば、狙い目、ということなのだと思います。
値段も、小さいので当然安く、毎月の負担は、賃貸よりも安く住めます。
(将来の維持費や老後のリフォームを度外視すれば、ですが。)
ただ、こんな住宅が出来上がります。
隣家とのすきまは30cmほどしかありません。
人は入れません。
建物に何かあったとき、どうやってメンテナンスするんでしょうか。
雨漏りがあったら、大変そうですね。
建物がくっついているので、火事になったら簡単に延焼するんでしょうね。
1階が玄関と車庫、2階がLDK、3階が寝室という間取りですが、階段の上り下りがつらくなったら、車庫を改造して住むんでしょうか。
親が介護が必要になっても、子供家族が一緒に住むことは厳しそうです。
建て替えるときは、どうやるんでしょうか。
解体作業の時に、隣の壁も倒してしまいそうですね。
今ある狭小住宅は、端っこから順に建て、隣の敷地から工事をしたものです。
次は細長い敷地の中で、どうやって家を建てるのでしょうか。
つまり、こういう狭小住宅は、「一代限りの家」、ということです。
家主が階段が上り下りできなくなったら、かなりの確率で空き家になると思います。
そして、解体することもできず、放置される可能性が高いと思います。
結局、今やっているのは「将来の空き家」の大量生産、ということです。
しかも、災害、特に火事には無防備です。
国も自治体も、「安全安心のまちづくり」や「空き家対策」を声高に言っていますが、一方でこういう事態を見て見ぬふりと言うのは、将来世代にツケを回すことであり、あまりにも無責任だと思います。
藤沢市は、人口が増えている、と無邪気に喜んでいる場合じゃないと思います。
阪神・淡路大震災からはや22年。
私も、地震発生1週間後から、しばらく現地に応援に行ったのですが、現場の息をのむ光景は、今も生々しく記憶しています。
安全なまちをつくり、人のいのちと財産を守る、というのは、建築・不動産にたずさわるものとして、基本的な心構えだと思っています。